男性更年期障害
“更年期”という言葉を聞いたことがありますか。【リビングまつやま 2025.7.25 第2032号 掲載記事】
(はじめに)
なんとなく体がしんどい、だるいような。体調があまりよくなくて、やる気も出ない。言葉では言い難い体の不良があり、でも“それは気のせいなのかも・・・・” 職場で、体調が悪いと言うのを悩んでしまう。このような症状や状態にある、あるいは心当たりがあるという場合は、もしかして更年期障害かもしれません。
更年期障害は、男性でも女性でも起こりうる病気です。今回は、『男性』の更年期についてお話をさせていただきます。もともと更年期は女性の(閉経後の)病気としての知られており、名前の由来は、女性の更年期障害と似た症状を呈することから男性の更年期いわれます。原因は、男性ホルモンの低下で30歳以降から症状がみられます。医学用語として、加齢男性・性腺機能低下症(以下、LOH症候群(late-onset hypogonadism))とよばれます。現在、更年期障害の人数は増えていますが、その背景には日本の深刻な高齢化があります。日本における65歳以上の人口が占める高齢化率は,2022年に29.0%となっており、2030年には30.8%,2050年には37.1%となることが予想されています。また高齢化においては、健康に生活できることが重要になってきます。具体的には、アンチエイジング(抗加齢)が重要ですが、治療ができる1つの病気として、LOH症候群があります。
(症状)
大きく3つがあり精神的な症状、身体的な症状、性機能の障害です。
精神症状;気分の落ち込み、不安感、イライラ、集中力の低下
身体症状;ほてり、動悸、疲労感、筋力低下
性機能症状:性欲減退、勃起障害(ED)
以上の症状が重なり合うため、多岐にわたります。
診断は、前述の症状のチェックと血液中のテストステロン値を測定して総合的に判断します。自宅では、セルフチェックシート(AMS(Aging Males' Symptoms Score)という問診表)を使って、症状の重さを評価することができます。
(治療法)
治療の中心は「ホルモン補充療法」で、男性ホルモン製剤を定期的に投与することで症状の改善を図ります。具体的には、注射で男性ホルモンを補充します。2-3週間に1回、3か月続けます。治療には公的保険が適用されます。副作用は、多血症や肝機能障害などがあります。
(予防・対策)
男性ホルモンの減少を完全に防ぐことは難しいですが、ストレスを軽減し、健康的な生活を送ることで症状の発症を遅らせることができる可能性があります。生活習慣の改善(バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠)なども重要です。また、家庭や社会、地域の中で「評価される」「認められる」ことにより分泌量が上昇するといわれています。人と積極的に関わり、活動的になることを意識してみましょう。
(最後に)
男性更年期障害はまだまだ知られておらず、悩まれていて、どこに相談したらよいかわからない方が多くおられます。もし自分がそうかもしれないと少しでも思われた方や、気になる症状がある方は、かかりつけ医に相談するか、専門医を受診されてみてはいかがでしょうか。
参考;日本泌尿器科学会, 他(編):LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き.医学図書出版, 2022
